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ホームゲームからみる大学スポーツの可能性~筑波大学アスレチックデパートメント(AD)~

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2022年07月14日

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こんにちは、筑波大学大学院体育学学位プログラムの菊池月です。私は大学の4年間、体育専門学群にて体育・スポーツを専門的に学びながら、体育会の部活動に所属しスポーツに深く携わってきました。そして現在、筑波大学ホームゲーム『TSUKUBA LIVE!』に運営メンバーとして関わっています。今回は、イベント開催に向けて、どんな活動が行われているのか紹介していきたいと思います。


TSUKUBA LIVE!とは

TSUKUBA LIVE!とは、昨年度から始まった筑波大学アスレチックデパートメント主催のホームゲームイベントです。「大学スポーツの可能性を広げ、スポーツで交流と興奮、文化を作る」ことをビジョンとして、ホームゲームだけじゃないホームゲームイベントを開催しています。具体的には、ダンスや音楽など、筑波大学内の部活動やサークル団体によるパフォーマンスや、会場全体で盛り上がれる応援など、試合以外にも様々なアトラクションを用意し、大学中、地域中で盛り上がるホームゲームを目指しています。

TSUKUBA LIVE!の最大の特徴は、ビジョンや開催概要を検討する段階から多くの学生が関わっている点にあります。さらに、総合大学である強みを活かして、スポーツに深く関わってきた体育系の学生のみならず、芸術専門学群の学生や、他領域の学生も集まることで、今までどこにもなかった化学反応を可能にしています。



TSUKUBA LIVE!を作っている人たち

運営チームは大きく分けて、「事務局・会場」「制作進行」「マーケティング」の3つで構成されています。この3チームに加えて、芸術専門学群の学生で構成された「ツクリエイト」がメインビジュアルやグッズ、SNSへの投稿素材などの作成を全て担当しています。運営メンバーは、筑波大学のスポーツアドミニストレーターと学生合わせて約30人ほどおり、所属する学群や部活動・サークルは多岐にわたっています。また、学年に関しても、学士2年生から博士後期課程の学生まで様々です。大きなスポーツイベントの運営に初めて関わる学生も少なくありませんが、それぞれの今までの経験や得意なことを活かしながら挑戦しています。自分自身の興味関心や問題意識に向き合って積極的に何かに取り組んできた経験を持つ学生が多く、自分にない経験や考えを持った同世代の姿に刺激をもらえる環境で、私も日々成長することができています。



TSUKUBA LIVE!ができるまで

開催日程が決まったら、運営メンバー全員でのミーティングを行い、その後はそれぞれのチームでミーティングを重ねながら準備を進めていきます。加えて、各チームのトップと全体統括メンバーで週に1度コアメンバーミーティングを行っています。このミーティングの主な目的は、各チームの進捗状況の共有と、TSUKUBA LIVE!の目的からずれていないかを定期的に確認することであると考えています。大きな組織でチームに分かれて活動していると、徐々にそれぞれの方向性にズレが生じてくる場合があります。また、学生にとっては経験したことのない規模のイベント運営になるため、日々のタスクをこなすことに精一杯になり、視野が狭くなってしまうこともあります。そのため、コアメンバーミーティングを通してTSUKUBA LIVE!は何を実現したいイベントなのかを再確認したり、他チームからの客観的な意見をもらったりすることで、各チームが同じゴールを目指して行けるようにしています。


事務局・会場チームは、運営メンバーや出演者の謝金の管理、会場内外の動線や控え室等の付帯設備の検討・管理、観客席の配置と管理などを行なっています。イベント運営の三要素である「人・お金・場所」の管理を行なっており、このチームがいないとイベント自体開催することはできません。TSUKUBA LIVE!では学生主催のイベントよりも大きな規模で人とお金が動きますが、100人以上の部員を抱える部活動で主務を務めた経験を持つ学生などがその経験を活かし、責任感を持って活動しています。


制作進行チームは、当日の会場内を作り上げる部署で、競技チームと演出チームに分かれています。競技チームには、ホームゲームを行う部活動の学生が所属します。自チーム及び相手チームとのやり取りを行い、ハーフタイムの時間など、当日どのように競技進行を行うかを検討していきます。演出チームは、ハーフタイムなどで行うパフォーマンスの制作やMC台本の作成を中心に、当日の全体の流れを作り上げています。舞台の制作・運営経験をもつダンス部の学生が所属しており、コンセプトに沿ったパフォーマンスの流れを構成していきます。その後、筑波大学内の部活動やサークル団体に声をかけ、団体の個性を生かしながらイベントのビジョンをお客さんが体感できるようなパフォーマンスを作っています。また、その他にも、応援振り付けを考案し会場全体で応援が出来るように工夫しています。


マーケティングチームは、集客や広報を行う部署になります。当日、より多くの方に会場に足を運んでもらうため、SNS運用やメディア・ゲストへのアプローチを行なっています。どのように広報をしていくかの検討から、実際の依頼や連絡まで全て行っており、デスクワークだけでなく、近隣のお店にポスターを配って企画に参加してもらうなど足を使った営業職のような業務も行います。環境や集客を行いたい層によってアプローチ方法を臨機応変に変えて行かなければならず多くのノウハウが必要とされる部署ですが、SNS運用経験のある学生などを含む様々なバックグラウンドを持つメンバーで、トライアンドエラーを繰り返しながら挑戦しています。


ツクリエイトは、TSUKUBA LIVE!に関わる全てのモノの制作を担当するチームです。芸術専門学群の学生で構成されており、筑波大学の強みが最も活かされる部分でもあります。ツクリエイトの業務は、運営メンバー全員で検討したイベントのテーマやコンセプトを言葉としてまとめ、それらをもとにメインビジュアルを作成するところから始まります。その後、制作進行チームと共にグッズや会場内の装飾を検討していき、実際にデザインを作成していきます。その他にも、SNSに投稿する画像などをマーケティングチームと共に作ることもあります。一つ一つ細部まで拘って作成し、TSUKUBA LIVE!のクオリティを一段と高くしてくれるチームです。




TSUKUBA LIVE!の運営チームは、学生だからという甘えや限界を持たず、むしろ学生だからこその勢いを生かして、個人や一つの部活動だけではできなかったところまでチャレンジしています。また、コミュニティやバックグラウンドの異なる学生が集まることで、相反する意見や考えが存在するようになっています。例えば、スポーツを扱う上で、スポーツに長年接してきた人と、スポーツにほとんど興味関心を持たずにきた人の両方の意見があることは非常に重要であると思います。多くの人に魅力を感じてもらうため、周辺的サービスを充実させることは必要ですが、スポーツ自体が蔑ろにされるのは選手にとってもその競技にとっても理想的ではありません。異なる意見を少しずつすり合わせ、互いに理解していくことでより良いイベントを作ることができると考えています。



幻のTSUKUBA LIVE!

第1回のTSUKUBA LIVE!は2022年3月26日、つくばカピオにて開催される予定でした。私たち学生と筑波大学アスレチックデパートメントは同年1月よりTSUKUBA LIVE!開催に向けた運営をスタートさせました。

私は制作進行チームとして、主に演出の部分の制作を担当していました。初めてであったこともあり、どこまで、どのくらいのクオリティで準備をすれば十分なのか、イベントのスケールをイメージするのに苦労した記憶があります。また、運営している学生自身も、大学としてどこまで出来るのか、学生の間でどこまで決めて良いのかなどが分からず、失敗と勉強を繰り返していました。このように試行錯誤しながらではありますが、日本の大学スポーツに大きな革新をもたらすかもしれない日に向けて、期待に胸を膨らませて日々準備を重ねていました。しかし、開催が目前に迫った3月23日、ホームゲームの実施チームである筑波大学バスケットボール部男子の中で、新型コロナウイルスの感染者が出たことにより、TSUKUBA LIVE!の開催延期が運営チームに告げられました。いよいよというタイミングでの開催延期は非常に悔しかったです。また、個人的な話になりますが、私はこの2年間、所属していた部活動において、開催に向けて準備を重ねてきたイベントが直前に開催できなくなる、あるいは規模を縮小せざるを得なくなる、という経験を何度もしてきました。そして、同年2月に行われた部が主催したイベントにおいても、直前に感染拡大により、規模を大幅に縮小して開催せざるを得なくなる経験をしたばかりでした。その分の思いも込めて、と意気込んでいたTSUKUBA LIVE!だったため、より一層やるせない思いを感じたのだと思います。

このような結果となった第1回ですが、制作進行チームとしては、Wホームゲームという形で同日昼に実施されたプロバスケットボールチーム「茨城ロボッツ」さんの試合にて、ハーフタイムにパフォーマンスをさせていただくことができました。TSUKUBA LIVE!内で実施予定だったパフォーマンスの一部を、急遽ハーフタイム用に構成し直した急造のものではありましたが、多くのお客さんの前でいきいきとパフォーマンスをする姿を見て、またこのような場所を必ず作ろうと強く感じました。

また、私にとって非常に有り難かったのは、スポーツアドミニストレーターの皆さんが、次回開催に向けてすぐに動き出して下さったことです。喪失感もある中だったとは思いますが、火を絶やすことなくすぐに次回を計画していただけたことで、学生としてもモチベーションを落とすことなく、むしろ悔しさを原動力に3月以上の思いを持って今活動ができています。


TSUKUBA LIVE!のこれから

現在は、8月7日の開催に向けて準備を進めています。今回は学内にて実施し、昼にバスケットボール部男子、夜に水泳部水球部門のホームゲームという、2種目同日開催を予定しています。今回のテーマは「Summer Tuuune!」。夏休みや音楽フェス、夏祭りなど夏には様々なイベントがありますが、今回のTSUKUBA LIVE!はそんな夏の心の昂りを筑波大生が存分に味わい、楽しめるようなイベントにしたいと考えています。

運営としては、今回のスタートに先立って組織体系を見直し、学生も裁量権を持ち、責任感を持ちながら活動できる体制となって再スタートしています。私は今回から、制作進行に加え、全体統括としてもイベントに携わらせていただくことになりました。実際問題、全体統括として私自身が何か出来ているかというとまだまだですが、全体統括にも関わることで、制作進行のチームを率いる上で定期的にTSUKUBA LIVE!のビジョンに立ち戻りながら活動することができるようになってきたと感じています。

3月の延期は悔しいものでしたが、一方で初めて開催するTSUKUBA LIVE!が世間の期待以上のものになるためには必要だった時間なのではないかと今は感じています。3月に向けて培ってきたノウハウが生きるのはもちろんのこと、増えた準備期間を使って、個人としても様々なスポーツイベントに参加し、目指すことを実現するにはどうしたら良いか考える時間を設けることができました。これからの課題は、運営メンバー全員がTSUKUBA LIVE!のビジョンを本質的に理解し、進めていくことができるかどうかだと思います。8月7日の開催に向けて、制作進行として当日をどのように作り上げていくかだけでなく、全体統括として運営メンバーが目指すべきゴールに向かっていけるように様々な方法を探っていきたいと思います。



TSUKUBA LIVE!から考えること

私はTSUKUBA LIVE!での経験を通じて、様々なことに「挑戦」出来るようになったと感じています。このイベントの運営は、すべての面において、私が今までに経験したことのない規模で進んでいます。そして、普通に学生生活を送っていては出会えなかったであろう、異なる所属の、異なる学年の、異なる背景を持った学生たちと共に運営することで、今までになかった考え方に日々出会うことが出来ています。このような環境下で、スポーツの持つ力やTSUKUBA LIVE!の目指す先を考えながら活動をしていくことによって生じた自分自身の変化により、TSUKUBA LIVE!のビジョンの実現を体感しています。

TSUKUBA LIVE!は先にも述べた通り、「大学スポーツの可能性を広げ、スポーツで交流と興奮、文化を作る」ことを目的としています。私は幼い頃からスポーツを観るのが好きで、戦うアスリートの姿に心を揺さぶられ、応援することで勇気やパワーをもらっていました。そして大学に入ってからは、遠い存在だったアスリートがたくさん身近にいて、普段同じように学生生活を送っている人たちが、スポーツで活躍する姿を見て、何度も鼓舞されてきました。言葉ではうまく説明できませんが、スポーツやアスリートにはそんなパワーがあると身をもって感じてきました。

大学は、学校自体が広く、高校時代とは比べものにならない人数の学生がいます。その上、全国から学生が集まり、専門的に勉強したいと思っていることも多岐に渡っています。そのため、専門が異なれば同じ時に同じ場所で学んでいる同世代の学生だったとしても、今はどこか遠い存在に感じられているように思います。しかし、TSUKUBA LIVE!を通じてその存在を身近に感じてもらい、スポーツやアスリートの力を多くの学生に体感してもらうことで、一歩踏み出すための手助けになるようなイベントにしたいと感じています。

また、私は、多様な学生で作り上げられたTSUKUBA LIVE!がこれからの筑波大生にとってのある種の共通言語になり得る可能性があると考えています。TSUKUBA LIVE!での共通の体験を通じて筑波大生同士の繋がりを生み、地域社会、そして日本中に伝播していくようなパワーを、大学生から生み出していければと思います。






ホームゲーム開催情報

「TSUKUBA LIVE! Summer Tuuune!」 2種目同時開催



⚫︎バスケットボール

 日時:8月7日(日)  開場 13:30 開演 14:00 

 会場:筑波大学中央体育館

 内容:1. 試合(男子バスケットボール)
    2. 試合前後パフォーマンス

 主催:筑波大学アスレチックデパートメント


⚫︎水球

 日時:8月7日(日)  開場 17:30 開演 18:00 

 会場:筑波大学屋外プール

 内容:1. 試合(男子水球)
    2. 試合前後パフォーマンス

 主催:筑波大学アスレチックデパートメント


▼無料チケットなどその他詳細は下記サイトより

https://tsukubalivesummer2022.studio.site/

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