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順天堂大学水泳部水球部門 体育会認定までの道のり 後編

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2021年04月14日

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順天堂大学水泳部水球部門主将を務めております田中琢也です。後編では水球部門として認めていただいてからのストーリーの話について書かせていただきました。

1.水球チームから水球部門へ

2019年3月

 私たち水球チームは、正式に順天堂大学水泳部水球部門として認められた。

 水泳部の監督、顧問、部員の前でスーツを着て水球部門として認めていただけるように、プレゼンテーションをさせていただくチャンスをもらった。そこで私たちがミッションとして4つのことを挙げた。

 ①マイナースポーツの普及

 ②水球の悪いイメージの払拭

 ③歴史のある部活作り

 ④社会に貢献できる人財の輩出

である。

 マイナースポーツの普及は、私が入学前から考えていたことであり、部員全員が望んでいたことであった。水球のことをもっと多くの人に知ってもらいたいという純粋な気持ちである。

 水球の悪いイメージの払拭は、競泳部門の監督からの要望であったが、世間的にも水球のイメージが少し悪いということもあり、取り入れることにした。水球は『水中の格闘技』と言われるほどコンタクトが多いスポーツである。そのため、どうしても格闘(暴力)というイメージがついてしまっている。それを覆すために私たちはクリーンな水球を目指し日々努力している。

 歴史のある部活作りは、特に大学から水球を始めたメンバーの強い要望であった。私たちが部活を作ってそのメンバーが卒業したら活動がなくなるというのは、あまりにも寂しくあっけないものであると私も考えていたため、採用した。そのため新歓に関してはどこの部活よりも力を入れている自信がある。

 最後に社会に貢献できる人財の輩出は、多くの部活動が掲げていることかもしれないが、部活動での経験を社会貢献に生かそうというものである。順天堂大学では教員を目指している学生も多く在籍しているが、一般企業に就職する学生もいる。その際に部活動を立ち上げた経験や部活動を大きくしていった経験を生かしてほしいという思いが込められている。それだけでなく、大学の部活動での経験は非常に勉強になることばかりであると考える。「大学生にもなってきつい練習をする価値や意味はあるのか」と多くの人に尋ねられるが、順天堂大学水泳部水球部門に所属するメンバーは自信をもって

 「ある

と言えるだろう。

 また、水球はマイナーなスポーツであるため、コミュニティがかなり狭いのも特徴である。そのため社会人の方々とお話しさせていただく機会も多く、非常に多くの社会勉強をさせていただいている。

 そしてこのプレゼンテーションのときに私たちが掲げたビジョンは

 『自らが最善を考え行動し多くの人に信頼され誰からでも応援されるチーム

である。

 どこの大学より頼りになる監督がいる中、全部監督に頼っているようでは何も成長しない。自分で自分には何が足りないのか。やらされる練習ではなくやる練習を心掛けている。また私たちは地域貢献や水球普及に対する活動に前向きに参加し多くの人から応援してもらえるようなチームを目指している。そのため関東圏で行われる大会にはほぼすべて競技役員として参加し競技を『支えている』。多くの人はスポーツを『やる』、『みる』という側面のみで関わっているが、『支える』という側面も忘れてはいけないものなので、自分たちはそれを率先して行っている。

 そうして私たち順天堂大学水泳部水球部門の活動が正式に始まったのである。

拙いスライドではあるが実際にプレゼンテーションをさせていただいた時の資料の一部


2.後輩の入部

2019年4月

 2年生になり初めての後輩ができた。男子は1人、女子は2人だった。3人とも経験者で2年生の自分たちからするとうれしくもあり焦りもあった。前述したが試合に出るには最低7人必要である。まだ男子だけでは5人しかいない。どうにかしてあと2人必要であった。昨年以上に呼びかけをして、勧誘ポスターも自腹で大量に刷り、大学にお願いしてありとあらゆる場所に貼らせてもらった。しかし人は集まらなかった。もっと個人に直接アピールしに行きたかったが順天堂大学の学生は入学前から大学でやるスポーツを決めている学生が8割近くいる。そのためなかなか勧誘がうまくいかなかった。

 こうして順天堂大学水泳部水球部門としての活動は男女合わせて7人で始まった。補足だが女子の2人はマネージャーではなく選手としての入部である。最初はマネージャー希望であったが2人とも高校生の時に輝かしい成績を残しているため

 「続けないともったいない!

とみんなで説得した。先輩として一緒にプレーしていく中で、彼女たちの存在は非常に大きかった。大きなステージを経験しているだけあって視野は広く、冷静にプレーができる。また、チームメイトへの声掛けもしっかりしてくれるため、チーム力の底上げがされたと実感している。そして残りの1人の男子はなんと医学部である。本来医学部の学生が私たちの所属するスポーツ健康科学部の部活動に参加することはない。過去にも現在にも例がないのである。医学部は授業が多くなかなか部活動に精を出すのが厳しいと判断されているからである。それでも彼は私たちと一緒に水球がやりたいと言ってくれた。

 この3人の後輩の実力は未経験者の2人と比べると確実に上である。しかし、しっかりとお互いに敬意をもって接することができる後輩だったためとても感謝している。この3人が最初の後輩で本当に良かったと心から思う。

 5月の後半から始まる大学学生リーグに出場すべくさらに勧誘活動をした。何人か見学に来てくれる学生は現れたが、入部までには至らなかった。大会参加のチームメンバー表の提出期限をぎりぎりまで伸ばしてもらったが人数が集まらなかった。

 「来年は絶対に学生リーグに出よう!

そう言って1年間頑張ってきたが参加できなかった。

大会に出るために頑張ってきたことは無駄ではない。

頭ではわかっていたがショックは大きかった。

だがここで諦めるようなメンバーはいない。

 「来年こそ絶対に出よう

静かに、そして再び強く誓い合った。

 一番大きな大会である学生リーグには参加できなかったが、昨年から参加してきたオープン大会には参加できる。また、今回は知り合いの支援を借りずに順天堂大学の学生のみで参加できる(男女混合チーム)。昨年に比べれば大きな進歩であった。また、自分たちでチームを組めるため、高校や大学に遠征に行ける機会が非常に多くなった。

 相変わらず勝てることは少なかったが、確実に成長していることが実感できた。

 大会に参加できなくモチベーションを維持するのが難しいかと思ったが、昨年より水球のプレーにおいてできることが多くなってきていたため、未経験者の2人も水球に対する考え方が変わってきた。

 

3.水球面白い

2019年6月

 今でも鮮明に覚えている。

未経験者の2人が2年目にしてようやくこの言葉を発した。

 「今日の水球なんかおもしろかったわ

水球チームから始まり水球部門になるまでに聞いた言葉で一番うれしい言葉だった。もちろん今までの水球が楽しくなかったわけではない。それでも水中という慣れないことが多いスポーツであるため、なかなか素直に面白いと言えていなかったのだと思う。後輩3人のおかげで順天堂大学の学生のみでチームを組めるようになったことも大きな要因であると思う。

 また、立て続けに良いことが起こった。2年生の10月という少し遅い入部だが、自分たちの同期が入部を決めてくれたのであった。彼とは1年生のころの寮生活で同じ部屋であり、ずっと勧誘していた。2年近く勧誘されたことに折れ一緒に頑張りたいと言ってくれたのであった。

 また、2019年11月に開催される関東学生新人リーグに合同チームとして参加が可能になったのである。この大会は自分たちが所属する2部リーグで3年生以下の学生が出場するものである。

 過去に合同チームとして参加した実例はおそらく存在したが、ここ数年そのような形で参加している大学がなかったため、正直諦めていた。すぐに知り合いに連絡して首都大学・東京海洋大学・東京理科大学との合同チームを組むことになった。順天堂大学水泳部水球部門として初めての準公式戦出場であった。(学連主催ではないため準公式戦)

 今までの練習とは違い実戦形式の練習が増えてきた。全く一緒にプレーをしたことなない人たちと連携を取るのは非常に難しくうまくいかないことばかりであった。しかし、それ以上にチームとして戦術を立て、試合に臨む準備をするということにメンバー全員喜びに満ちていた。

 結果は準優勝であった。

 合同チームのメンバーと力を合わせてもぎ取った勝利であった。言葉にするのが難しいが創部からの活動が少し報われた気がした。しかしながら、私たちが目指す場所はもっとずっと上である。準優勝できたことで満足はしていなかった。ここから私たちの部活を大きくしていくという気持ちとともに、強くならなくてはいけない使命感を再認識した瞬間でもあった。

合同チームとして準優勝した


4.2年目の部活動

2020年4月

 正式に部活動として活動してから二度目の春を迎えた。今年も大きな課題として部員集めがある。しかし例年とは少し違い部員が1人確定していた

 それは、私たちが1年生の時に興味を持ってくれた高校生が、なんと推薦で順天堂大学に合格したのである。1年生の彼は高校生の時に神奈川選抜に選ばれるほどの実力の持ち主であり、他大学からのスカウトも来ていた。しかし、順天堂大学で水球をやることを決めてくれたのである。強豪校からのスカウトよりも私たちを選んでくれたことに感極まった。色々な高校に声を掛けていたことが2年越しに叶った瞬間であった。男子メンバーは7人になり大会出場が確実になっていた。しかし、言うまでもなく新型コロナウイルスの影響で中止である。学生リーグに出ようと言い頑張ってきたが、ついに次が最初で最後の大会になってしまった。

 仕方がないということは頭では理解しているが気持ちは追いついてこなかった。しかし、現状に絶望し立ち止まっているだけでは何も起こらない。メンバー同士で励ましあいながらできることをした。集まれる機会や練習できる機会は減ったが、考える時間、学べる時間、オンラインでミーティングする時間はむしろ増えた。そこで、今まで特に決めていなかった役職を決めることとなった。それまでは私が主将、主務、会計、広報、学連、グッズ、スカウトなどすべて1人でやってしまっていた。それは役職をみんなに任せてしまうことでミスが生まれるのを避けたいと考えていたからである。今から考えるとそれは大きな間違いであったと思う。メンバーに役職を与えることでそれぞれのメンバーに責任感が生まれ、より一つにまとまれたのではないかと感じた。また、より組織として成長ができたのではないかと思う。


5.最後に

2020年9月

 私たちの順天堂大学水泳部水球部門のストーリーはこれから先もまだまだ続く。

色々な人から「大学で部活を作ったなんてすごいね!」と言われることが多いが、読んでもらったらわかるように、私が特別したことはほんの少しでしかない。組織を作り上げていく上で意識したことは

 経験者であろうが未経験者であろうがお互いを尊重したうえで言い合えるようなメンバーを集めること

くらいである。

 監督を含めた9人に助けられながらここまで成長できたのである。いい人たちに巡り合えたことに感謝している。

 「出る杭は打たれる」とはよく言ったもので、打たれることは確かに嫌である。でも自分が打たれてもはずかしくないと胸を張り覚悟をもっていれば、きっといくら杭が出ていようが打たれることはないのではないかとここ数年で学んだ。これは多くの偉人が残している言葉であるが、それを経験できたことは非常に良かったと思う。

 杭は出ても悔いは残さないように残りの大学生活を過ごしたい。

左上から高貫(4)鈴木(4)田中(4)篠江(4)櫛淵(2)

左下から田村(3)森(4)岸井(3)中村(3)

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